映画『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』の感想

アニメ映画『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』を見た。

2016年に原作漫画連載20周年記念として作られた作品で、漫画版『遊☆戯☆王』の後日談。

筆者は遊戯王のTVアニメ(デュエルモンスターズの方)を全話視聴しているが、漫画版は読んだことがない。

ただし、漫画版の続編ではあるが、TVアニメ版しか見ていなくても内容は理解できた。基本的な話の筋は変わらないようだ。

調べてみた所、TVアニメ版は原作にないオリジナルエピソードがあったり、海馬と遊戯の関係性が少し違っていたりするらしい。

映画のテーマの一つになっている海馬の闇遊戯に対する異様な執着は原作の要素とのこと。確かにTVアニメ版の海馬はそこまで執着していなかったように思うし、表遊戯のこともある程度認めている感じがあった。

感想

とても面白かったし後日談として見てもかなり完成度の高い作品だと思う。

すごく内容が濃く、2時間を超える尺があるのに退屈することがなかった。どんでん返しやサプライズがあってすんなりとは終わらない。

リアルタイムで漫画やアニメを見ていた世代はもう大人になっているけど、その人達に向けて作られている感じもある。子供から大人まで見れる内容。

ファンサービスの同窓会的映画とは一線を画している。それは原作者が製作に深く関わっているからだと思う。その後の話としての必然性が感じられる厚みのある作品になっていた。

以下少々ネタバレがあるので注意。

 

 

この映画の良かった所は原作やTVアニメ版のエンディングを否定しなかった所。過去作を尊重した上で続きを描いているというのは素晴らしい。

ハリウッド、国産コンテンツを問わず、綺麗に終わった作品の続編を作ったせいでそれまでのシリーズが台無しになったり価値を落としたりすることは多い。

だけどこの映画は大丈夫だった。それどころか原作の価値を高めていると思う。

序盤から闇遊戯が戻ってきて大活躍したほうが喜ぶファンもいるだろうけど、あえてそうしなかったのがいい。

表遊戯はすでに闇遊戯に別れを告げ一人の人間として自立しているわけで、そこを押さえておかないと過去作の結末が台無しになる。簡単に呼び戻せてしまったら今までの話はなんだったんだということになる。

かと言って闇遊戯が全く出ないというのもファンにとっては物足りない。前作の主役の一人だからね。だからこそ、最後の最後に一瞬だけ助けに来てくれるという出し方は非常にバランスがいいと思った。

ファンサービスしつつも前のエンディングを大事にしていて、よく考えられてるなと。

劇場版だけあって作画も気合入っている。よく動くし派手な演出もあって盛り上がる。

モンスターは基本CGだけど人型は手描きだった。

ファンサービスやオマージュシーンも色々ある。城之内の変顔も見られた。

俺ルール

映画オリジナルキャラの藍神が中心になって話が転がっていくのだけど、こいつが次元領域デュエルという謎ルールで決闘を挑んでくる。

気力でモンスターのステータスが変わるなど、通常のデュエルとは全然違うルールなのに、ちゃんと相手に説明せず一方的に始めるから卑怯な感じがしてなんか笑えた。

挑まれた海馬のほうも地面からドローした神を召喚したり、なんでもあり感がすごい。

俺ルールを押し付けるこの感じは懐かしい。初期を彷彿とさせてよかった。例えば月を攻撃するシーンが有名。

あと藍神関連のエピソードでは別次元の存在とか、集合無意識がどうのとか、オカルトと言うかなんというか、やたらと不可思議かつ壮大な話になっていて面白かった。

海馬の執念

海馬は相変わらずいいキャラをしていた。狂いっぷり、変人っぷりが最高。大げさな台詞がいちいち面白いし、バカバカしいことをクールな顔で大真面目にやる所がたまらない。

海馬コーポレーションは街を完全に支配下に置くどころか、宇宙にまで進出しているという。軌道エレベーターみたいなのを作って宇宙ステーションと自由に行き来する海馬社長。

とんでもない資金と先端技術を有しているのだけど、それらを使ってやっているのは闇遊戯を呼び戻すための研究。そこがまた面白い。

どうしても再戦して勝たないと収まらないのが海馬。藍神との対決に加え、海馬の闇遊戯に対しての異常な執着がこの映画のテーマになっている。

自らの命を危険に晒してまで闇遊戯を求める海馬は狂っているけど、同時に熱いものや美しさも感じられる。実にいいキャラをしている。

おわりに

正統的な続編だしファンサービスも沢山。とても濃い内容。初代遊戯王のファンなら見ておいて損のない映画だと思う。

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