ディズニープラスで配信中の『マンダロリアン』シーズン2を最終回(チャプター16:救出)まで見た。
シーズン2は前よりスケールが大きくなったし、派手なアクションもあって良かった。しっかりスター・ウォーズ感があったし、映像のクリアさや臨場感もすごかった。
ただ最終回にはちょっと不満がある。個人的にはそれまでの回に比べて微妙に感じた。
どんなふうに終わるのかなと一週間ワクワクして配信を待っていたのに肩透かしを食った感じ。え、こんなあっさり終わっちゃうの……。
※以下ネタバレ注意
チャプター16:救出(最終回)感想
最終回は終始淡々とした感じだった。盛り上がりに欠けてるように思う。戦闘シーンは十分にあったのに単調に感じてしまったよ。
相変わらずストームトルーパーは弱っちくて簡単に制圧されちゃったからかな。味方側はオールスターみたいな感じで強すぎた。
主役のはずのマンドー(ディン・ジャリン)が脇役に追いやられた感じもダメだった。
ダーク・トルーパーにボコボコにされて投げ飛ばされた所と、モフ・ギデオンに後ろから斬りつけられた所しか印象に残ってない。その後戦って勝ってはいるんだけどね。
一番まずいのは『マンダロリアン』のメインキャラたちは、ほぼ雑魚としか戦っておらず、美味しい所をあの人に持っていかれちゃった点だと思う。
旧主人公問題
助けに来たジェダイはルークでしたね。
あの若いルークは『ローグ・ワン』のターキンみたいに顔合成なのかな? エンドロールにはマーク・ハミルの名前があった。
それにしてもスピンオフにオリジナルシリーズの主役を出すというのは、結構リスクが高いと思う。スピンオフのキャラが突然脇役ポジションに追いやられてしまうから。
特にルークの場合、戦闘力も桁外れに高いからなあ。マンドーたちなら絶対に勝てなかったダーク・トルーパー集団を一人で蹴散らす。まさに無双って感じ。
ルークが出てきたら、絶望するほど強かったダーク・トルーパーも噛ませ犬に成り下がった。
ルーク登場はファンサービスとしてはいいかもしれないけど、単体の作品として見ると禁じ手じゃないか?
視聴者はルークを知ってるからいいけど、『マンダロリアン』では初登場。作中のキャラにとっては初対面。
まったく知らない人が突然現れて、圧倒的に強くて、やすやすと助けてくれましたっていうのは、作劇上マズいのでは? ほぼデウス・エクス・マキナじゃん。
まあ、全く伏線がなかったわけではない。チャプター14の岩の所で交信したグローグーが呼んだのは分かるけどさ。
でも、グローグーがルークを呼べるならマンドーが助けにいく必要すらなかったんじゃ?
放っておけばルークが勝手に助けて連れて行ってくれたかも。マンドー達の存在意義ないじゃん。苦労して戦う必要もなかった。
これはちょっと冷めるわ……。『マンダロリアン』の登場人物をあまり大切にしていない感じで嫌だ。前話までが良かっただけに、最後にコレをやっちゃうのはもったいない。
なんか最終回はマンドーの話じゃなかったように思える。グローグーとの別れもあっさりで特に感慨がない。そこを見たかったのに。二人の関係性が大事だったのになあ。
グローグーかマンドーのどちらかが別れを嫌がると思ってたのに、わりとすんなり受け入れてた。それでいいのか?
ファンサービスしすぎ問題
別にルークを見たくないわけじゃないけどさ、これはマンドーの話なんだからあまり活躍させすぎないほうがいいと思う。
ディズニー化後のSW作品は『マンダロリアン』に限らず過剰なファンサービスが目に付く。
既存のファンに媚びるあまり、新しさや驚きがなくなっているのが問題。
EP7『フォースの覚醒』は完全にEP4『新たなる希望』の焼き直しだったし、EP9『スカイウォーカーの夜明け』は予想を一切裏切らない感じで逆に居心地が悪かった。なにもかもが安直。
「ファンはこれが見たいんでしょ」っていうシーンの寄せ集めで、確かに楽しいのだけど、新鮮さが一切存在しないのよね。
これでもかと挿入されるオリジナルシリーズのオマージュ・引用シーン。引用によってのみサーガの正統性が示せると思ってるのかな?
今回はついにスピンオフの引用にまで手を出したように思う。スピンオフがスピンオフを引用することになるとはね。
ルークがダーク・トルーパーを切りまくる所は、『ローグ・ワン』でベイダーが反乱軍兵士を切りまくるシーンの引用に見えた。あえて重ねてきているのでは?
ラストでルークが顔見せするのも、『ローグ・ワン』のラストでレイアが顔見せるのと似た感じだし、もうちょっとひねりを加えてほしいよ。そこまで繰り返しにこだわるのかと。
ファンサービスが目的化すると、どんどん閉じコンになって新規が入りづらくなる。その先にあるのは衰退のみ。
作品単独で理解できて面白いものを作ってもらわないとマズいぞ! ディズニーとルーカスフィルムは分かってるのかな?
今思えばEP8『最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督は偉かった。新しいことをやろうとした点はもっと評価されていいと思う。エンタメ映画として観るとあまり面白くなかったのが問題だけど……。
『マンダロリアン』は途中までいい塩梅だったんだけどな。世界観は維持しつつ新しいものを見せてくれた。ファンサービスをしつつも、話には新しさがある。SW初心者が見ても楽しめる。
でも、シーズン2終盤でファンサービスに寄せすぎたね。
続編問題
これ、本当にシーズン3作られるんですかね? 来年12月はボバ・フェットのスピンオフだし。
なんか、続きがなさそうな終わり方だったんだよなぁ。グローグーはルークに引き渡された。仲間の所に届けるというマンドーの目的は果たされちゃったんだよね。
このまま続編をやろうにも、ボ=カターンとの決闘くらいしか話が残ってない気が。一緒にマンダロアの復興でもやるのか?それとも一人で賞金稼ぎを続ける所を見せる?
帝国残党との戦いはマンドーにとってはどうでもよさそう。そういえば彼らはグローグーの血で何がしたかったんでしょうね? シーズン2でも肝心の部分は明かされてない。
スローン大提督の話はアソーカのスピンオフでやるだろうし、マンダロリアンはこれで一旦終わりなのかもなあ。
今のルーカスフィルムはすぐ監督をクビにしたり、製作中止にしたりするからシーズン3が中止になっても驚かないよ。ファンから見ると明らかにおかしい選択をするのも分かってる。
ボバのスピンオフもお蔵入りかと思いきやしれっと復活したしな。
ボバやアソーカのスピンオフは時代が近そうだから、その続きみたいな感じで数年後に『マンダロリアン』続編をやることになるのかもしれない。
製作側は同じ時代を複数の視点から描こうとしている気がする。そして最後の決戦で大集合する感じ。
どうせならシークエル(EP7~9)は非正史ってことにして、ドラマシリーズで一から作り直してほしいな。
シークエルは三部作内ですらメチャクチャに矛盾して整合性が取れてない。スピンオフを作る際の邪魔になると思うわ。
終わりに
途中までは非常に良かった『マンダロリアン』だけど、最終回を観てこれからのSW作品に期待していいのか不安になってきた。
過剰なファンサービスによってシークエルの過ちを繰り返さないか心配。ファンに媚びず新しいことをやってほしい。それこそがファンを喜ばすことにつながると思う。