去年(2018)に公開されて話題になった映画、『ボヘミアン・ラプソディ』のブルーレイをレンタルして視聴した。
今更説明する必要もないと思うけど、イギリスのロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディー・マーキュリーが主人公の伝記映画。
タイトルの『ボヘミアン・ラプソディ』というのは曲名でもある。演奏時間が6分もある曲で、長すぎてラジオで流せないとレコード会社の人に言われ揉めるシーンもあった。
結構テンポが早い映画だった。時間の流れが速い。あっという間にバンドを結成して、あっという間に大人気になる。えらくすんなり。
人気になるまでの試行錯誤とか、葛藤とかはあまりない。下積み時代が省略されてる感じ。日本の少年漫画的な展開とはぜんぜん違う。
そしてやっぱりフレディ・マーキュリーが中心の映画。クイーンのメンバーは4人いるけど、他の3人はちょっと影が薄い。
映画を見て初めに持ったフレディのイメージは繊細で情緒不安定な天才。そしてマイノリティ。両親は祖国を追われたゾロアスター教徒。イギリスに住んでいるけど外国出身なので差別的な言葉を浴びせられることも。さらに同性愛者。
フレディは「クイーン」で成功し地位と名声を得たにも関わらず、だんだん精神が病んでいき、荒れた生活を送るようになる。
出自や性的指向によって差別される側の人間であるということが、彼の精神を乱しているようにも見えた。成功しても安心感が得られない。成功したのに苦しそう。
「クイーン」のメンバーとも対立し、ソロで活動するようになる。
途中までは、なんてことない伝記映画でそこまで面白いわけでもないなと思っていた。ドキュメンタリー風ミュージックビデオだなと。
でも、最後のライブシーンが本当に素晴らしくて感動した。
うわーってなる。
対立していたメンバーや家族と和解して、チャリティのライブ(ライヴ・エイド)に臨むところまでの流れがすごく良かった。
これまでの苦難が描かれていただけに、感動が大きい。
これが人気の理由かと納得した。ライブシーンでは当時の熱狂を追体験できるね。
フレディは歌詞で自分の人生のありのままを歌ってたんだな。生々しい実感を伴った曲で心に来るものがある。しかも流れるのは本人本物の声だからねぇ。
ドキュメンタリーパートはこのライブシーンのための伏線だったんだな。
エイズによる死が迫ってくる中、必死に声をあげて歌うフレディの歌には重みがある。本当にすごい人だと分かったよ。
この映画もすごいけど、フレディー・マーキュリーって本当にすごい人だったんだなと。色々教えられた。
映画前半はそこまで面白いわけでもなかったけど、最後は文句なしに素晴らしかった。