EP9が上映中の『スター・ウォーズ』ですが、若い世代にはマーベル映画(マーベル・シネマティック・ユニバース=MCU)のほうが人気らしい。
自分は『スター・ウォーズ』を繰り返し観るようなファンですが、マーベル映画は一切観たことがありません。面白いのか気になります。
MCUがどんなものか知りたいので、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』をレンタルしてみました。
この作品を選んだのは「ファースト」と付くので、きっと最初の作品だろうという適当な判断からです。(実際には『アイアンマン』が最初のMCU作品とのこと。)
※以下若干ネタバレあり
あらすじなど
舞台は第二次大戦中のアメリカ。主人公のスティーブ(後のキャプテン・アメリカ)は貧弱な体格のため、軍の入隊検査に通らないのですが、書類を偽装して何度も検査を受けます。
なんとしても兵士になって、ナチスと戦いたいという強い思いを持っていることがよく分かる描写でうまいなあと思いました。
他のエピソードからも、肉体は貧弱なものの正義感にあふれ精神的には非常に優れていることがわかります。ちょっと愛国的すぎて危うい感じもしますが、それでも応援したくなる人物像です。
そんな彼はある博士によって超人を作る計画の対象者に選ばれ、常人離れした肉体に強化されます。
一方、敵のナチス・ドイツでは、ある一派がオカルト研究を基に凄まじい兵器を作りだし、大きな陰謀を企てていました。
良かった所
普通に面白いですねこれ。気軽に観られるエンタメ映画でした。かっこいいメカがでてくるし、派手にドンパチやるのもいい。
また第二次大戦中の話でありながら、オカルト研究などによって作り出された未来兵器が沢山出てくるのは新鮮でした。
上映時間が約2時間に収まっていているのも良かった。この程度の長さだと観やすいです。
『アベンジャーズ』の完結編がめちゃくちゃ長いと聞いていたので、マーベル映画はどれも長いんだろうなと警戒していたけどそんなことはありませんでした。
また、テンポよく話が進み、眠くならないです。
第二次大戦当時のアメリカの街並みや文化、時代の雰囲気のようなものが描かれていたのも良かったですね。なるほどこんな感じだったのかと。(未来兵器が出るようなフィクション映画なのでどこまで忠実に再現しているのか分からないけれども。)
衣装
キャプテン・アメリカの戦闘服もなかなか良い。
せっかく肉体強化されたスティーブですが、戦場に出させてもらえず、恥ずかしい全身タイツを着せられ、戦意高揚のための見世物「キャプテン・アメリカ」として全米や戦地を回ります。
この時着ている全身タイツはアメコミ版に忠実な衣装なんですよね。これが作品内でも恥ずかしい子供だましの衣装という扱いで「おっ」と思いました。
アメコミヒーローって冷静に見ればすごい衣装着て戦ってますよね。作中の人物が全身タイツを自然に受け入れるのではなく、やっぱり変だと思っているところがリアルで、メタ的な視点を感じられました。
一方、後に戦場に出て戦う際の衣装はかなりかっこよくアレンジされています。
特典のメイキング映像で語られていましたが、第二次大戦当時の素材で作れてなおかつ動きやすく格好のいいスーツにするため試行錯誤したようです。
全身タイツ姿とは違い、なかなか様になっていて良かったですね~。
気になった所
面白かったものの、観ていて気になる部分もありました。
本当に強いのか
肉体強化されたキャプテン・アメリカですが、あまり強いようには見えませんでした。
確かに通常の人間と比べれば明らかに高い身体能力を持っていますが、それだけで未来兵器を持った敵の軍団と戦えるというのはちょっと変だなぁと。
キャプテン・アメリカは、空を飛び回ったり、目からビームを出したりはできず、あくまで人間の延長線上のことしかできません。筋力が強かったりするだけ。
主人公補正など、ご都合主義が入っているから活躍できるだけで、リアルに考えると簡単にやられそうに思っちゃうんですよねぇ。衣装はリアルでもそこんとこはリアルじゃないという。
また、スタークが作ってくれたチートな盾のおかげで生き延びられているだけで、本体はそんなに強くないようにも見えました。
これなら普通の兵士にスターク製の装備を持たせるだけで十分なんじゃないかと。
大事なのは肉体ではなく精神だと言いたいんでしょうかね?キャプテン・アメリカのような精神力があれば、どんな敵にも勝てると。
それだとアメリカではなく、どっか別の国みたいになっちゃいますが。
まぁ、武器の大切さも描いているからバランスは取れてるのかな…。
アメリカ上げが凄い
この映画そのものが米軍のプロパカンダ映像なんじゃないかと思えるくらい、アメリカすげ~、アメリカは正義~、めっちゃ強いぜ~っていう雰囲気が漂っています。
音楽も仰々しく勇ましい感じで戦意高揚しますよ~。
エンドロールで出た絵なんて実際に使われたプロパカンダポスターなんじゃ……。
これ、アメリカ人が観ると逆に恥ずかしくなるんじゃないかと思ってしまうくらい、コテコテの愛国映画に見えてしまいます。
製作者はそういうことが分かった上で、あえてこのような作りにしたのでしょうか?アメリカの正義を無邪気に信じられた、牧歌的な時代を懐かしむ感じで。
うーん、ポリコレやら何やら色んなものに気を使っている現在のハリウッドで、何の考えもなしに愛国映画を作ったりしないものなぁ。やはり「メタ的に観てね」っていうことなのでしょう。
おわりに
しんみり心に残る感じの作品ではなく、気楽に観れて派手なアクションが楽しいハリウッドらしい映画でした。
『アベンジャーズ』に直接つながる終わり方だったので続きを観たくなりましたが、他のキャラクターを知らないので、次は『アイアンマン』を観てみようと思います。