無難な出来:スター・ウォーズEP9『スカイウォーカーの夜明け』感想

スター・ウォーズ続三部作の完結編、EP9『スカイウォーカーの夜明け』の感想です。今回は公開初日に観れました。

ただ初日なのに座席には空きが目立ってました。

田舎ですし平日だから仕方ないのかもしれませんが、ちょっとさみしい。やっぱり人気が落ちてるのかな、新規ファンを獲得できてないんじゃないかなと不安になります。

客層はまぁ、おっさんが多かったですね。ほぼ男性。初老の方も結構いました。

最初の作品から42年経過している重みを感じます。当時10歳だった人が50代のおっさんになっているのだから、息の長いコンテンツっていうのがよく分かる。

前置きはここまで。まずはネタバレ無しの感想を書きます。

ネタバレ無し感想

観る前の期待度は低かったですが、しっかり楽しめました。無難にまとまっているという印象。

監督がEP7『フォースの覚醒』で過去作の焼き直しをやったJ・J・エイブラムスですし、EP8『最後のジェダイ』で伏線などはブチ壊しになっている。

コケても仕方ないと思っていたのですが案外悪くない。評論家たちがボロクソに酷評したというのが信じられないです。

期待値を下げることで批判が出ないようにする新手のステマなのではと疑ってしまう。少なくとも続三部作の中では一番面白かったですよ。

評論家は退屈だと言っていたけど全然眠くならない。むしろ展開が早くて目が離せなかったです。

EP7からの新キャラクター3人(+1人)がしっかりメインキャラとして活躍していたのも良かった。これまでは旧作のキャラに圧倒されて陰が薄かったけど今作では存在感がありました。

特に今回のレイは強くて美しかった。主人公としての風格がある。

前からのキャラでは、年を取ったランド・カルリジアンがすごく優しそうで良かったです。人の良さが顔に出てる感じでした。

映像的にも良かったですよ。他のエピソードで見たことがないような画面が見れました。エイリアンがしっかり出るのもいいですね。EP7も8も人間ばかりだったので。

レイアのストーリーへの組み込み方も上手だと思います。俳優のキャリー・フィッシャーが亡くなり、未使用映像だけでどう乗り切るのか心配していましたが、違和感なく活躍していました。

旧作へのオマージュもEP7程しつこくなかったですし、なんでこんなに評論家の評価が低いのか謎です。

EP7は絶賛していた人たちがどうして手のひらを返したんでしょうね?前はネズミに金でも握らされてたのでしょうか?

……ネタバレ無しで書けるのはこの辺までです。

この後はネタバレ込みで感想を書いていくので未鑑賞の方はご注意下さい。

シス・トルーパーはほぼモブでした……。

ネタバレあり感想

EP9にはイウォークが出ますよ~。嘘じゃありません、本当に出ます。

やっぱりパルパティーン

いやー冒頭から超展開でした。オープニングテロップで「死者が喋りだした!」というような文章(うろ覚え)が出た時にはニヤケそうになりましたよ。

やっぱりパルパティーンが復活してラスボスをやってくれるようです。

その後レンくんが良く分からん奴らをバサバサ倒して謎のアイテムをゲット。超スピードでパルパティーンのいる星へ行くという凄い展開。

伏線を全部破壊してしまったEP8の後に話を作るにはこうするしか無いんでしょうね。しっかり検証すると前二作と辻褄が合っていない部分もありそう。

そして前作では全く言及されていなかったシスの艦隊がいきなり登場。パルパティーンがこっそり作っていたらしい。

ファイナル・オーダーという組織らしいですが、船の数多すぎじゃね?よく作れたなこんなに。

そしてEP8であっさり死んだスノークはパルパティーンの操り人形だったんですって。作りかけのスノークみたいなのが陳列してあったし、おいおいって感じ。後付け感があって面白い。

そもそもなんで生きてるんだよパルパティーンが。ベイダーに落とされて死んだんじゃないのか?肉人形に魂を移したんですかね?そのあたりの説明が不十分でよく分からなかったです。

フォースのインフレ

EP8の時点でやり過ぎと言われていたフォースの描写ですが、今回は更にトンデモパワーになってましたねぇ……。

フォースは空間を超越しました。遠く離れた星にある物体を取り出すことが出来ます。まるでドラえもんの「とりよせバッグ」ですよ。

さらに前回はフォースで交信するだけだったけど、今回は肉体を遠くへ転送して切り合うことも可能に。

ルークがやったようなホログラムと違って、実際に体を遠くに送り込んでいるような描写でした。いやー凄いな、そこまでやれるのか。

さらに手をかざすだけで宇宙船をぶっ壊せます。もうライトセイバーなんて要らないんじゃ……。

『クローン大戦』(3Dじゃないほうのアニメ)で、ヨーダやウィンドゥがフォースだけでドロイド軍団を潰しているのを見て「やりすぎだろ」と思ってましたが今回はそれ以上です。

あと、『ジョジョ』の某スタンドみたいな力も加わってました。傷を簡単に治癒させたり、生命を与えたりもう何でもあり。

こういう所はしっかりEP8を受け継いでるなあと思いますね。レイアの生身宇宙遊泳から何でもありになった気が。

そうそう、パルパティーンは魂を吸う能力を身に付けていました。『ハリポタ』を彷彿とさせます。

魂を吸ってパワーアップしたパルパティーンが強力な電撃を放ち宇宙船を落とす場面は、誘蛾灯(電撃殺虫器)に突っ込む虫を見ているような面白い映像でしたね。

チート兵器?

以前EP4の焼き直しをやったJ・J・エイブラムス監督のことなので、今回はEP6オマージュで第2スターキラー基地を出すんじゃないかと恐れていましたが、流石にそこまで安直なことはやりませんでした。

その代わりか知りませんがもっとヤバい兵器が登場。惑星を粉々に破壊できるレーザー砲を積んだスター・デストロイヤーです。

文字通りスター・デストロイヤーになってしまいましたね…。チートすぎ。しかも膨大な数配備されているという……。

デス・スターの大安売りみたいなもんじゃん。世界観がおかしくなる。

でもこいつらほとんど活躍しないまま破壊されちゃったんですよね。出港前に全滅させられるというのは情けないですね。

おかしなやられ方をしたのは普通に戦ったらレジスタンス側に勝ち目がないからだと思います。ハッピーエンドにしないといけない以上、負けてもらわないといけない。

そのためか今回のスター・デストロイヤーは紙装甲。防御力皆無でいとも簡単に破壊されます。正規軍でもない烏合の衆に簡単にやられるのは情けない。

まぁ、大量の宇宙船がレジスタンスを助けに、銀河中からザーッと駆けつける映像はかっこ良かったけどね。

胸が熱くなったけれども、同時に、ファイナル・オーダー艦隊よっわー、強いのはレーザーだけかいと思ってしまいました。

幽霊船

ファイナル・オーダーのスター・デストロイヤーに普通の人間が乗っているのも気になりました。ファースト・オーダーとあんま変わらない。

あの星の不気味でおどろおどろしい雰囲気と合わせるなら、ダークサイドのフォースで操られた死人やゾンビが乗っていてくれたほうが良かった。パルパティーン自体ゾンビみたいになってましたし。

もしくは、幽霊船のように目に見えないものによって操縦されているというのでもいい。暗黒面のフォースそのものが操縦するデストロイヤー。

そっちのほうが帝国の亡霊って感じで面白みがある気がするんですが。『スター・ウォーズ』的じゃないからダメかな。

予定調和

不満があるのはストーリーが予定調和的な所ですね。特に終盤は簡単に結末が読めてしまって盛り上がりに欠けました。パルパティーンが負けるのは分かりきってますし。

電撃はEP6の頃より強化されているし弱くはないんだけど、やっぱり倒されるために出てきた感満載。どうなるんだろうドキドキというのは無いですね。

あまり予想外の展開はなくて、そりゃそうなるよねっていう流れの繰り返し。他のエピソードを見たことのあるファンなら簡単に予想できることしかしない。

カイロ・レンはアナキンのようにライトサイドに戻ってきましたし、レイの正体はEP7の時のファンの考察通り。

予想外だったのはフォースのインフレと、第2スターキラー基地が出なかったことくらい。

手堅く、ファンを喜ばせる作りにしようというという意志が感じられて複雑な気持ちです。やっぱりJ・J・エイブラムスは優等生的な監督で、冒険をしないんだなぁと。

予想を裏切らないし、個人的な思いやメッセージを込めたりしない。それが悪いことだとは言わないけれども、ちょっと物足りない気もします。

EP7よりは全然良いけど、ファンによる二次創作感は抜けていません。

レイに子供?

明示はされてないですが、レイはベン(カイロ・レン)との子供を身ごもってるような気がして仕方ないんですよね。憶測に過ぎませんが。

ベンは一度死亡したレイにフォースを注いで生き返らせました。(力を使いすぎたためかベンは消滅。)

その際、レイの腹あたりに手を当ててたんですよね。生命力以外に他の何かも送り込まれていて、子供が出来ていてもおかしくない。そういう描写に見えました。

今回のフォースは空間を超越してますからねぇ。

これもある意味処女懐胎ですし、アナキンの出生に重ねてきているのかも。

この推測が当たっているとしたら、次の『スター・ウォーズ』、EP10からの主人公は、レイとベンの子供ということになるでしょう。

ラストシーンでレイのお腹が大きくなってるんじゃないかと予想していましたが、そんなことはなかったです。

スカイウォーカーの夜明け

ラストシーンでは、スカイウォーカーというのが血筋を示す名前ではないことが示されました。

血がつながっていなくても、たとえ敵対関係にあったパルパティーンの孫娘であっても、彼らの精神性を受け継いでいればそれはスカイウォーカー。

正しいジェダイの心を持っていればスカイウォーカー。

レイは、レイ・パルパティーンと名乗るのではなく、レイ・スカイウォーカーと名乗ることを決めました。

ここはいいシーンです。結構好き。

お約束通り二重太陽を眺めつつEP9は終わります。(BB-8のデザインってもしかして二重太陽が元になってる?)

終わりに

EP10ではレイの子供を主人公にして話を作りそうな気もするし、本当に血統を否定したのか気になります。

そういえばEP8のラストに出た箒の少年はどうなったんでしょうかね?新シリーズの主人公は彼のような気もする。

とはいえ新作映画はしばらくお預け。ディズニーデラックスに課金してドラマ版を見るかどうかは悩むところです。

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