問題は多いが意外に見れる…SW『スカイウォーカーの夜明け』1年経って見返した感想

『マンダロリアン』のシーズン2を見るため久々にディズニープラスに登録したら『スカイウォーカーの夜明け』が追加課金なしで見れるようになっていたので見てみた。

『夜明け』を見るのは3回目。映画館で2回見た。当時の感想↓

 無難な出来:スター・ウォーズEP9『スカイウォーカーの夜明け』感想

今回の感想

途中までは面白いよね、終わらせ方が微妙だけど。

それと設定がいい加減すぎるよね。ファイナルオーダーが無から湧いてくるし、前作では誰も助けに来てくれなかったのに今作ではなぜか銀河中から仲間が助けに来る。

どう考えても『最後のジェダイ』の続編にはなってない。矛盾が多すぎる。

前作を無かったことにしたい感が強くてなんだかなぁ。あからさまな当てつけシーンもあるし(カイロ・レンが仮面を修復したり、ルークがライトセーバーを大事にしろと言ったり、ローズがほぼモブになってたり)。

だけどまあ、シリーズの完結作としてではなく独立した作品として見れば楽しいよ。前作とは別世界、パラレルワールドと思って見たほうが良い。

スター・ウォーズもアメコミみたいにマルチバースにすればいいのにな。正史・非正史をディズニーが決めたせいで色々論争になるわけだから。

ちなみに本作と同じJ・J・エイブラムスが監督した『スター・トレック』映画も、舞台を平行宇宙にしているらしい。

もうディズニー化以降の作品は全部、ルーカス宇宙から分岐した別宇宙の出来事ってことでいいじゃん。つまり全部非正史ってことで。

本当に正しいシークエルはルーカスの構想していたもので、実際作られた映画はパラレルワールドってことにする。

ルーカスの宇宙はもう絶対誰にも壊されないようにしてほしい。(古いファンにはルーカス自身が壊してるって言う人もいるけどね。CG加工とか。)

作品ごとのつながりもあったりなかったりでいいじゃん。整合性にこだわらなくていいわけだし、作り手の自由度は上がるよ。現時点で正史作品も結構な数あるんだから、いちいち矛盾しないように作るのは大変でしょう。

それにマルチバースにしたらリブートもしやすくなると思う。

ところでハン・ソロのスピンオフ映画なんてリブートみたいなものじゃんね。あの俳優外見が全然ハリソン・フォードに似てないし。(ただ見た目は違っても演技は良かったと思うし自分はあの映画に関して肯定的。ディズニー化以降では一二を争う面白さだったよ。)

『夜明け』の楽しさ

話がそれた。『夜明け』の話に戻す。

スター・ウォーズ感は凄くある。見たい絵を見せてくれた。エイリアンもシークエルの中では比較的多めに出てくるし、いろんな星が出るし。

(ただ冒頭のムスタファーに木が生えてたのは納得いかん。50年そこらで環境が変わるのかよ。それなら別の星でいいじゃん。)

でも絵的には満足なんだよなぁ。ウェイファインダーを覗き込んだ所から宇宙のシーンに繋げる演出はカッコいいし、ファースト・オーダーの会議場面とかもビジュアル的には好き。

しっかりチャンバラもやってくれるし。

なんだかんだでディズニー三部作の中では一番楽しかったなぁ。好きなのは『最後のジェダイ』だけども、あれは前半が退屈なんだよなぁ。

『最後のジェダイ』はエンタメ映画として微妙。アクションがいまいち楽しくない。深いテーマ性があって、絵も美しいけどスター・ウォーズ的楽しさは少なめ。

メッセージ性とか製作者の心意気という点では一番好きだけど、子供が見ても楽しめる映画になってないのは辛いと思う。

評論家はべた褒め、観客は賛否両論という結果から分かるように渋い映画なんだよ。

『夜明け』は正反対だったね。一般公開前に評論家がゾンビだなんだって酷評してた。(本当にゾンビ出てきたら良かったのにな。ファイナル・オーダーがみんなゾンビだったらきっと興奮したよ。)

でもまぁ『夜明け』はボケーッとしながら見てもそこそこ楽しめるし、暇つぶしのエンタメ映画としては良いと思うよ。

逆にじっくり考えながら見ると矛盾と説明不足が目立って楽しめなくなる。シナリオ構成面でも稚拙って言われてるしな。見せたいシーンが先にあって宝探しという接着剤でくっつけただけ。絵的には楽しいというのもそこに関係してると思う。

とはいえ、二次創作としてはそこそこよく出来てる。

謎シーン、疑問点

砂漠でカイロ・レンの乗るファイターが突っ込んでくるシーンはギャグっぽい。なんか間抜け。

レイにあっさり切られてクラッシュ、大炎上ってお前…。しかも無傷で生きてるし。炎の中からノコノコ歩いて出てきて笑えたわ。

レンは何がしたかったんでしょうね?レーザー撃ってないし殺すつもりはなさそう。遊んでただけなの?レイのこと好きみたいだしちょっかいかけてただけなのかな。イマイチ行動が理解できん。

あとレン騎士団モブだったね~。全く何者か分からんまま、ライトサイドに寝返ったレン(ベン)に殺されて気の毒ですよ。

シークエルでは彼ら以外にも、なんとなく出てきて素性が分からんままフェードアウトするキャラが多すぎて困る。

キャプテン・ファズマもそうだし、ベニチオ・デル・トロが演じたDJとか、今回のプライド忠誠将軍とか。一応後付説明はされてたけどスノークも。

スピンオフの小説やらで説明するから問題なしっていうスタンスなのかね?映画しか見ないファンに対して不親切な気もする。

あのパルパティーンの所にいたローブをかぶった奴らは何だったんだろう。あと、シス・トルーパーは背景の一部だったし、おもちゃ売るために出したんかね?

ドロイドのD-Oも必要か?BB-8がいるのにまた似たようなポジションのキャラを出した。そのせいか分からんけど今回R2-D2の存在感皆無だったな。C-3POは結構活躍したけれども。

ファイナル・オーダーは無理設定

ファイナル・オーダーは、ほとんどがダークサイドのフォースで作られた幻だと思う。あんな大量のスター・デストロイヤーを作れる資源が手に入るはずないし、人員も資金もどこから集めてきたのか謎。おかしい。

そんな事ができるなら、パルパティーンはプリクエルで最高議長になって共和国乗っ取る必要さえなかったじゃん。こそこそ隠れて信奉者と艦隊作ってればよかったんだよ。過去作の設定まで破壊しちゃいかんでしょ。

シークエルの中でも矛盾してるよね。ファースト・オーダー要らなかったじゃん。なんで作ったのよ?ファイナル・オーダーは1万倍の兵力らしいし存在意義がなくなる。

そもそもファースト・オーダーの規模はどれくらいで、銀河のどの程度を支配していたのか、その辺が一切描かれてないのが痛い。1万分の1なら地方軍閥程度の勢力だったのかね?

それと新共和国ってスターキラーにやられてあっさり終わったんかね?レジスタンスしか残ってない設定だったっけ?

そう言えばスターキラー基地も未知のエリアでコソコソ作ってたって設定だったな。あれもバレずに建造できたのおかしいよ。今回のシス艦隊と似たような設定。J・J・エイブラムスは2回同じアイデアを使ったことになる。

百歩譲ってスターキラーはまぁ、帝国残党がいっぱい残ってたことを考えると出来なくもないとする。

でもファイナル・オーダーとシス艦隊は流石に無理設定。無から生えてくるのは説得力がないからやめて。

考察(妄想)

ここから先は妄想だけど、設定を現実的に考えるとシス艦隊って実際には数隻しか存在しないはず。人員もそこまでいない。製作側がどう考えていようと、自分はそう解釈することにした。でないと納得できない。

シス信奉者が沢山いるって言ったってさ、限度があるよね。カルトがコソコソやっても数隻作るくらいが関の山だよ。それでも大変なのに1000隻はどう考えても無理。

食糧もどうするんだよ。あんな暗い惑星で生産できなさそう。

大量のデストロイヤーがレジスタンス側の寄せ集め艦隊に簡単にやられたのはそもそも実態のない幻だったからだよ。

エクセゴルはダークサイドのフォースに覆われてるから、みんな幻覚を見ちゃってたんだよ。

存在しないものをまるで本当にあるかのように見せるというのは『最後のジェダイ』でルークもやってたことだし、シス側が使えてもおかしくない術だ。

『クローン・ウォーズ』でもフォースの幻を見る話はいくつかあったし。

ゾンビー

ファイナル・オーダーの船に乗ってるやつが普通の人間なのも萎える。ゾンビとかお化けにしとけよ。もっとカルトっぽくしろ。ファースト・オーダーと差別化出来てないじゃん。

ダークサイドの術で無理矢理復活させられた死人の集団とかでいいじゃん。過去のコンテンツを墓から掘り起こして金儲けに使ってる映画業界(D社含む)への皮肉・自己批判にもなってて良いじゃん。

繰り返しになるけどファイナル・オーダーの人間はどこから湧いて出たんだよ。ゾンビか幻でもない限りありえんでしょう。

同じ映画内でファースト・オーダー幹部が「人手足りないからさらって来ようぜ」って言ってんのにさ、ファイナルの方はどっから人を調達したのよ?

本当にテキトー極まる設定だな。前作どころか一つの映画内で矛盾してるという。リアリティのかけらもない。いくらなんでもこれは…。

偽パティーン

パルパティーンも偽物だと思う。なんか頭悪いもん今回のパルは。艦隊を出撃させてシールド張ってから宣戦布告しろよ。それまで隠れてろよ。

そう言えば既に出港してたよなキジーミ破壊した船は。アレで脅しかけるだけで十分効果あるのに何もしなかったしわけわからん。

レイを誘惑するときもシスにならないなら星みんな壊しちゃうよ~って脅したほうが効果的。

あとデストロイヤー全隻に星破壊レーザー砲付けとくのは悪手だと思う。明らかに過剰配備だよ。現実世界で、地球を何度も滅ぼせるほどの核兵器を配備している大国のメタファーってわけでもあるまいし。

しかもレーザー砲は攻撃を受けたら簡単に爆発する自爆スイッチになってるのが情けないよね。デメリットでかすぎ。普通のデストロイヤーをメインにして星破壊仕様は1割未満にとどめておけ。

しかも武器が強力すぎて一隻でも奪われたらヤバいじゃん。レジスタンスが一番上にいるやつに乗り込んで奪い取り、エクセゴルめがけてレーザー発射すればパルパティーンもシス信奉者も全滅や。

なんか、今回のパルパティーンは行動原理がめちゃくちゃで、わざと負けるために復活したようにしか見えんのよなぁ……。なんかおかしい。

宇宙のフォースそのものがレイたちに試練を与えただけで、全部幻だったんじゃないの?パルパティーンも復活してないし、ファイナル・オーダーも幻影。

パルパティーンは既に死んでて蘇らない。アナキンが投げ落として予言通りフォースにバランスがもたらされたんだよ。復活してしまったらルーカスのスター・ウォーズを全否定することになるじゃん。

それでも面白いのがなんとも……

設定、ストーリーはめちゃくちゃだけど映像的には楽しいんだよなぁ…。うーん悔しい。

ファイナル・オーダーの三角翼タイ・ファイターが飛んでる所はかっこよかった。

トレヴォロウ版も見たかったけど、J・J・のこれもこれで悪くない気がするなぁ…。

でもこの映画を見て喜んではダメなような気もする…。はっきり言って志は低いよね。オールドファンに媚びすぎ。過去作へのオマージュばっかりでオリジナリティがない。もっと好きにやってくれてよかったのに。

新しさが無いよねぇ…結局。

賛否両論の『最後のジェダイ』には、焼き直しではなく新しい話を作ろう、スター・ウォーズ世界を革新しようという気概があったけど、今回は昔ながらのスター・ウォーズに戻ったね、食べ慣れた味に戻した。

とても保守的で、ファンなら容易に予想できるような話にしかならなかった。

確かにいつものスター・ウォーズって感じで居心地は良かったのだけど、これではルーカスのやったことを真似して繰り返しただけなんだよねぇ…。

同窓会映画はもう十分堪能したから次は新しいスター・ウォーズを見せてくれよ~。

『マンダロリアン』も悪くはないけど、スケールがでかいのも見たいわ、ライトセーバーチャンバラも見たい。キャスリーン・ケネディ社長はそろそろ後継者を決めて引退してくれてもええんやで。

次の映画に関しては情報が錯綜しててよく分からんね。エピソード1より200年前の話をやるって聞いたけど、調べてみるとあれは書籍中心の展開で映画じゃないみたいだし。

願わくば、あと一作だけでもいいからジョージ・ルーカスが復帰して撮ってくれたら嬉しいな。ルーカスはきっとファンに媚びず新しいものを見せてくれるはず。

また、若手監督には、平行世界の設定でもいいから、古いファンに媚びない新しいスター・ウォーズを作ってもらいたい。D社やルーカスフィルムはそれを邪魔すべきではない。

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