映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』感想 – 近年稀に見る爽快な映画

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の感想です。

字幕版を日本公開初日に見に行ったのですが客席はガラガラでした。田舎の映画館&平日の上映とは言っても初日でこの人の少なさは悲しい。

世界的に見ると熱狂的なファンの多い『スター・ウォーズ』シリーズですが、やはり日本では『妖怪ウォッチ』に負けたことがあるくらい集客力が低いようです。特に今回はスピンオフですし…。

それはさておき、すばらしい映画でしたよ『ハン・ソロ』は。こんなに爽快でいい気分になれる映画はなかなかありません。

本作は『スター・ウォーズ』を見たことがない人でも十分に楽しめる内容です。以前からのファン以外にもぜひ見てもらいたいと思いました。

※以下では本編の感想に入ります。少々ネタバレがありますので未視聴の方はご注意ください。

明るく爽快な映画

映画っていいものだなーと久しぶりに思えた作品。エンディングの音楽が始まる所で感極まり、うおーっと絶叫しつつ拍手したくなった。迷惑になるから実際にはやらないですけどね。

『スター・ウォーズ』シリーズに限らない話だが、最近の映画は面白いのだけど小難しかったり、メッセージが重かったりして疲れてしまう場合が多い。

多分「ありきたり」と言われるのを避けるためにやってるんだと思うのだけど、新しいもの、今までと違うものを作ろうとするあまり奇をてらいすぎている感がある。

一方『ハン・ソロ』はシンプルかつ爽快な冒険活劇なので頭を空っぽにして見られる。『スター・ウォーズ』の原点であるEP4を思い出すワクワク感。それにテンポがすごくいい。怒涛のごとく話が進んでいって退屈する暇がない。

冒頭からハイテンポなアクションシーンでこれは面白い映画になるに違いないと思った。物語の世界にグイグイ引き込まれる。ファルコン号が宇宙空間を飛ぶシーンの映像がすごい。美しさに震えた。

ソロの不幸な出自や裏社会の厳しい掟、帝国の圧政など重い要素も描かれているのに暗くならないのが凄い。終始明るく軽快。制作陣は見事ですね。なかなかできないことだと思う。いつでも前向きなハン・ソロというキャラクターのおかげもあるとは思うけど。

ディズニーになってからのSWでは一番出来がいいと思った。『ローグ・ワン』も良かったけどあれは前半が眠かったんだよね(後半は素晴らしい)。

初心者でも小難しい設定を気にせず楽しめ、かつ昔からのファンを唸らせるオマージュ、引用が随所に見られる。本当に良くできた映画だと思う。

ハン・ソロというキャラクター

ハン・ソロ役の俳優(オールデン・エアエンライク)が実に良かった。視聴前は原作のハリソン・フォードでなきゃハン・ソロじゃないと思ってたけど実際見てみると全然あり。

顔は全然似ていないし、ハリソンのモノマネをしているわけでもないのだけど、紛れもなくハン・ソロだと納得させてくれる演技だった。全く違和感がない。

それにしてもハン・ソロって本当にいいキャラだなあ。ハングリーで前向きで爽やか。生き様は見ていて気持ちがいい。犯罪を生業にしているんだけど情に厚くとてもいい人。(本作では成り上がるため彼が犯罪に手を染めなければならなかった理由が分かる。)

口では金が一番だと言い薄情なように振る舞うが、仲間を見捨てられず最後には助けに行く熱いハートを持った男。それがハン・ソロ。スピンオフの本作でもEP4の彼そのものだった。

(……それだけにEP7での雑な描き方が目についてしまう。特にあの殺し方は無かったと思うなあ。)

初登場のキャラクター

見どころはハンやチューバッカ、ランドの活躍だけじゃない。新しいキャラクターも魅力的。EP7,8の主役級よりよっぽど深みのある人物(&ドロイド)達でしたよ。

キャラ同士の愛や絆、信頼関係が丁寧に描かれていたのも良かった。変な言い方だけど健全な印象を受ける。変態やサイコパスはいない。みんな犯罪者なんだけど、人間味があるというか愛が深い。

トバイアス・ベケットはハンにとって裏稼業の先生のような人物。裏切られることを警戒して誰も信用しないというのが信条。自分も生き残るため仲間を裏切る。

だけどこの人も根っからの悪人ではなく、やむを得ない事情でそうなっていることが分かる。本当は普通の暮らしをして楽器を弾きたい優しいおっちゃん。

よく考えるとハン以外にもみんなハードな背景があるんだよな。でも上で書いたように巧みな演出によって暗さを感じないようになっている。辛い境遇ではなくその中でも失われない愛や人間性の部分に目が行くように作られている。

やたらとドロイドの権利を主張する女性型ドロイドL3-37もキャラが立っていて魅力的。ランドは私に惚れているという発言は勘違いやジョークの類いかと思ったけど違った。

ランドが本当にL3を愛しているのがよく分かった。激しい銃撃の中、身を危険にさらしてまで助けに行くんだから。単に便利な道具として好きなわけじゃない。本物の人間みたいに思っていたんだな。

彼女は結局銃撃で壊されてしまったけどファルコン号の頭脳として生きることになる。ちょっと感動。

そのほか

なんとEP1で死んだはずのダース・モールが登場。ホログラムですけどね。

まあ生存設定自体は前からあった。スピンオフの3DCGアニメ『クローン・ウォーズ』や『反乱者たち』に登場。でもあまり繋がりのなさそうな本作に出るのは驚き。これがオビ=ワンのスピンオフだったら出てきても違和感ないのだが。

他には終盤にアニメ版のキャラクターらしき者が出てくる。人物紹介シーンが無いから混乱する。誰これと。映画以外もチェックしているファンには分かるんだろうな。残念ながらアニメ版は一部しか見られていない。

ヒロインは死ぬかと思っていたけどそんなことはなく、ハンとの関係にケリが付かないまま話は終了。ここだけはスッキリしない。このままの状態でハンがレイアと結ばれるのは変。どこかで決別する必要がある。

もしかして続編の予定があるのか?モールが出たということはオビ=ワンのスピンオフが制作され、そこへ続くのかもしれない。これからの展開に期待しています。

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